私の名は、ミカ。
今、校庭にいるんだよね。
…唯一の戦力になる先生2人はゲームに夢中という悲惨な状況なんだよなぁ…。

…。

戦力になりそうなヤンキーな生徒共を、学園から校庭にブン投げたのはいいんだけど…
こいつ等、本当に強いのかさっぱり分からん。
私の後ろでバイクをブゥーーンとか鳴らしやがって、私を何だと思ってるんだか。

…。

仕方ないのでカインを拉致しよう、そうしよう。

-保健室-

カイン「あぁ…どうしたミカ。」
鈍感すぎるんだよ、学園が上級天使兵で囲まれてるのに…
ミカ「学園が天使兵で囲まれてるから、侵入されないようにアンタを呼びに来たんだけど。」
バックアップ要員としてだけどね。
カイン「お前の速さがあれば、あんなクソ天使共なんぞ瞬殺じゃないか。」
もういいやコイツ…どうせ面倒だから動きたくないだけなんだろうな。
さて…ヤンキーと私で、どうにかできるんだろうかねぇ。


-校庭-

生徒会室のある窓に目を向け、呟きながら歩く。
ミカ「…あいつ等、ゲームしすぎなんだよ。
     何だよ、学園はどうでもいいのかよ。」
とか、呟きながらヤンキー共に命令を下す。

ミカ「おい、天使倒すぞー。」

ヤンキー共「…あ?」

何だ、その返事は。
…おい、そこのヤンキー。
やる気あるの?
いや、無理矢理半ば強制で学園内から校庭に投げた私に責任は、あると思うけどさぁ!!

天使「此処が学園か…戦力が9割9分9里も減ってしまったが、セリスの首を持ち帰る為に行くぞ。」

唯でさえ凶暴な魔王共が巣食う巣窟の様な学園相手に、天使兵10人じゃ勝てないと思うよ。
天使兵の独り言って、なんで大きい声なんだな。
とか思いながら、私は鞘から剣を抜く。
抜剣すると同時に、学園内から知っている声が聞こえた。

????「…なんかゲームクリア後に魔法陣を頭に強制的に記憶されたけど、使えないわね。」
????「ははは☆ それはセリアちゃんが馬鹿だからだよ☆」
????「…。」

ドォォン!!
パリーン!!
ドガガッ!!

ビッグバンでも撃ったのか?

????「いやぁ、セリアちゃんってボケの極みだね☆
     暴力でしか、解決しようとしないなんて…きっと馬鹿の生まれ変わりなんだね☆」

ガガッ!!
バリッ!!

ミカ「…………バリ?」

バリバリ!!
パリィン!!
ドガガッ!!

学園が真っ二つに切り裂かれる。
何やってるんだ、あの二人。
学園を大切にしようという精神を持ち合わせてないとしか、考えられない。

????「っざけるんじゃないわよ!!」
????「ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ☆」

ブンッ!!
ドガァァァァア!!
パリィィン!!

…遠い目で学園が破壊される様を見ることにする。
ミカ「…。」

????「ねぇねぇ、学園壊してどんな気持ち?
     ねぇ、どんな気持ち?」
????「…爆殺雨刃ばくさつうじん!!」

ドスッドスッドスッ!!
ドガァァァァア!!
パリィィン!!

????「うわぁい☆ 全部回避できるよぉ☆」
????「なんなのよぉぉぉ!!」

学園の上空から、刃…というか、巨大な剣のような物が無尽蔵に突き刺さる。

生徒「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」

学園内から、生徒の断末魔のような意味不明な叫び声が聞こえる。
流石に、今の現状が危険というレベルを遥かに超えているのか天使兵もドン引きしてきている。

天使兵A「ねぇ…アレ…ヤバくない?」
天使兵B「危険すぎるぞ…。」

…いや、危険ってレベルじゃないから。
一つ世界が消えるレベルだから、アレ。

????「ねぇねぇ、学園粉砕してどんな気持ち?
     ねぇ、どんな気持ち?」
????「いや、普通に後で修復かけるから。」
????「ですよねー☆」

修復魔法は良いけど、瀕死の生徒はどうするんだよ…。

????「瀕死の生徒はどうするのさ☆」
????「適当な復活魔法でも掛ければいいでしょ。
     さてと、みかん…何しよっか?」
????「そうだねぇ…学園に忍び込もうとする天使共はミカちゃんが、何とかしてくれるでしょ。」
????「じゃぁ、寝ようかしら。」
????「流石セリアちゃん!!他力本願って事だね☆」
????「外にはミカが居るし、大丈夫よきっと。」

他力本願って言うより、ただ寝たいだけだろアンタ等。
先生を友人にもって…いい事はない。
魔界だから仕方ないって言うのもあるかもしれない。
でも、ほんの少しの確率でいいからマトモな先生に会いたい。
会ってどうこうするって訳ではないが、居たら嬉しいな的なそんな単純な理由だろう。
…また、学園の方から声が聞こえてきた。
どんだけ大きな声で話してるんだよ…。

????「寝たわね。」
????「たった20秒だけだけどね☆」
????「20秒も寝れたじゃない。」
????「はんッ!!フツーの人は9時間寝なきゃいけないんだよ☆」
????「この学園で、そんなに寝れたら奇跡と言っても過言ではないわね。」
????「まぁ、授業で寝る時間なんて無いもんね。」
????「皆無ね。」
????「じゃぁ、外にテレポしますか☆」
????「テレポ。」
????「ぼくもテレポ☆」

…校庭にセリア達が現れた。
セリア「待った?」
……待ってない。
ミカ「アンタ等が学園内で大暴れした所為で、天使兵共が逃げようとしてるところよ。」
みかん「99.9%も天使兵が学園外の結界で死んだんだから、帰るの無理なんじゃないの?」

天使兵の動きが空中で止まった…。
戻ってきたよ…。

みかん「どーせ死ぬなら、意味ある死に方した方がいいよね☆」
セリア「仮に帰ったところで、あの凶暴なグロウに消されるに決まってるわ。」

天使兵共が武器を構え始めたよ…。
どんだけ先生共の話を信じてるんだよ…。
事実には変わりないけど。

セリア「あー、其処の天使兵共…死にたくなかったら、降参しろ。」
みかん「そうそう☆まぁ、降参しても死ぬんだけどねー☆」
ミカ「餓死とか餓死とか餓死とかか?」
みかんが上機嫌で言いきった。
みかん「当たり前じゃん☆」

天使兵共が武器を構え始める。
純粋なんだな、御前等。

天使兵A「こうなったら自棄だ!!」
天使兵B「先手必勝だーーー!!」

セリア「…リオ召喚。」
みかん「流石セリアちゃん!!リオ君を盾にして、自分に傷を付けさせない作戦なんだよね☆」
セリア「えぇ…。」

おい、セリア。
何だ其の予想外な発想された様な顔は。
しかも棒読みで肯定すんな―――!!

リオ「…此処は一体…。」

天使兵A「退け餓鬼―――!!」

リオ「我、名をリオ・ヘスティミア。理と法…全と一を統べる使い手となりて我に挑む愚か者に粉砕の裁きを与えよ。」

天使兵が槍を構えたまま、走って…リオに向かって突っ込んでくる。
…が、リオが手をかざした途端、槍は粉々に砕け散った。
また、よく分からない理術か。

リオ「…雑魚に興味は無い。
   我の邪魔をするならば…斬るぞ。」

リオの灰色の眼が、天使兵Aを睨む。

天使兵Aが、一歩後ろに下がる…が天使兵Bが大剣を振り回しながら突っ込んでくる。

リオ「我、名をリオ・ヘスティミア。理と法…全と一を統べる使い手となりて我が行く手を遮る愚か者に刃の雨を降らせ。」

リオのかざしていた手が、また微かに光った。
辺りに居た天使兵を巻き込んで、校庭を血の海に変えた…。

セリア「さ、流石リオね…。」
みかん「びっくりだね☆」
御前は、蜜柑食ってただけだろうが。
何言ってやがる。

…リオの口が開いた。

リオ「…我を学室に帰せ。」

セリア「…テレポ。」
リオは帰った。
何も言わずに。

みかん「とりあえず、校庭にある血を何とかしようか☆」
セリア「そうね。」
ミカ「…私も手伝うわ。」

第二十一章に続く