1220年ごろ、アイスランドの詩人であるスノッリ・ストゥルルソンが著した詩の教科書を、「スノッリのエッダ」と言うのだが、 其の中でラグナロク (Ragnarök)が、ragnarøkrと記されており、訳すと「神々の黄昏」となる。 本来のラグナロクとは北欧神話の世界の終末の日のことである。 スノッリのエッダでは、世界創世や人間の創造、神々の一覧、未来に起こるであろう最終戦争ラグナロクなどのことがまとめられている。 ラグナロクについては、「ニーベルングの指輪」で劇化されており、其の中の章の一つにも、「神々の黄昏」がある。 ラグナロクが起こる前にまず風の冬、剣の冬、狼の冬と呼ばれるフィンブルヴェド(古ノルド語:Fimbulvetr、英語:Fimbulwinter。 恐ろしい冬、大いなる冬の意)が始まり夏は訪れず厳しい冬が続き、人々のモラルは崩れ去り、生き物は死に絶える。 以下ラグナロクの流れ バルドル(バルデル)の死によって早められた、神族と巨人族の間に起こる世界終末戦争。 太陽と月がフェンリルの子であるスコルとハティに飲み込まれ、星々が天から落ちる。 大地と山が震え、木々は根こそぎ倒れ、山は崩れ、あらゆる命が巻き込まれ、あらゆる命が消える。 ヘイムダルは、世界の終焉を告げる為に角笛ギャラルホルンを預けているミーミルの泉へ向かう。 オーディンはミーミルの元へ駆けつけ、助言を受ける。 この日には全ての封印、足枷と縛めは消し飛び、束縛されていたロキやフェンリル、ガルムなどがアースガルドに攻め込む。 ヨルムンガンドが大量の海水とともに陸に進む。 その高潮の中にナグルファルが浮かぶ。 舵をとるのは巨人フリュムである。 ムスペルヘイムのスルトも立ち上がり、炎の剣を持って進む。 前後が炎に包まれた彼にムスッペルの子らが馬で続く。 ビフレストは彼らの進軍に耐えられず崩壊する。 神々と死せる戦士たち(エインヘリャル)の軍は皆甲冑に身を固め、巨人の軍勢と、ヴィーグリーズの野で激突する。 オーディンはフェンリルに立ち向かうものの、すぐさまフェンリルに飲まれて死んでしまう。 オーディンの息子ヴィーダルが、フェンリルの下顎に足をかけ、手で上顎を押さえてその体を切り裂き、父の仇を討つ。 トールはヨルムンガンドと戦い、ミョルニルで殴りつけて倒すが、毒を喰らい相打ちに終わる。 テュールはガルムと戦うが、ガルムが死に際にテュールの喉を噛み切り相打ち。 ロキとヘイムダルも相打ちに倒れる。 フレイはスルトと戦い善戦するも武器を持っていなかったため打ち倒される。 スルトの放った炎が世界を焼き尽くし、九つの世界は海中に没する。 闘いの後、大地は水中から蘇りバルドル、ヘズは死者の国より復活する。 オーディンの子ヴィーダル、ヴァーリ、トールの子モージ、マグニ、さらにヘーニルらも生き残り、新たな時代の神となる。 彼らはかつてアースガルズのあったイザヴェルで暮らす。 天の南の端にあるギムレーという、太陽より美しく黄金より見事な広間は、天地の滅亡の時にも滅びずに立っている。 ここに、永遠に、善良で正しい人が住むのである。 ホッドミーミルの森だけが焼け残り、そこで炎からのがれたリーヴとリーヴスラシルという二人の人間が新しい世界で暮らしていくものと されている。ちなみにホッドミーミルの森とは世界樹ユグドラシルの別称であるとされる。 太陽が狼に飲み込まれる前に産んでいた美しい娘が、母を継いでその軌道を巡り、新しい太陽となる。 そして以下ニーベルングの指輪の流れ 序夜 『ラインの黄金』(Das Rheingold) 第1場 - ライン川の水底。3人のラインの乙女が泳いでいると、そこにアルベリヒが現れる。     ラインの黄金が世界を支配する力を持つと聞いた彼は、それを強奪する。 第2場 - ヴォータンはフライアを報酬にして、巨人族に居城ヴァルハラを建設させる。     城は完成したものの、フライアは巨人族に身を捧げることを拒否する。     ローゲはラインの黄金を身代とすることを提案し、ヴォータンとともに地下のニーベルング族の国へ向かう。 第3場 - アルベリヒがラインの黄金で作られた指環の力でニーベルング族を支配している。     ローゲは策略と弁舌でアルベリヒを捕縛する。 第4場 - 地上に引き立てられたアルベリヒから、ヴォータンは自由の代償としてラインの黄金を奪取する。     アルベリヒは指環に死の呪いをかける。エルダが現れ警告を発するが、ヴォータンは聞き入れない。     指環を手に入れた巨人たちは、財宝を巡って争いを起こしファーフナーがファゾルトを殺してしまう。     神々は呪いに恐れおののくが、一転して虹の橋を渡りヴァルハラに入場する。     剣の動機が高らかに奏され英雄の登場を暗示する一方、ラインからは黄金を奪われた乙女の嘆きが聞こえる。 第1夜 『ワルキューレ』(Die Walküre) 第1幕 - 嵐の夜、フンディングの館にジークムントがあらわれる。     彼とフンディングの妻ジークリンデはお互いに惹かれあう。     やがてフンディングが帰宅し、フンディングが一族の敵であること、ジークリンデが生き別れの妹であることを知る。 第2幕 - 荒涼たる岩山。ワルキューレの長姉ブリュンヒルデとヴォータンがいる。     そこへ結婚を守護する女神でヴォータンの妻フリッカが現れる。     フリッカは、妻を奪われたフンディングの復讐と婚姻の神聖を守るためとして、ヴォータンにジークムントの死を求め、ヴォータ     ンはやむなく承諾する。     ブリュンヒルデはヴォータンからジークムントがフンディングによって殺害されること、そしてそれを見殺しにすべきことを告げ     られる。     ブリュンヒルデは兄妹を守ろうとするが、ジークムントはフンディングの槍に貫かれてしまう。 第3幕 - ヴォータンの怒りを逃れ、ブリュンヒルデはヴァルハラに駆け込み、妹たちに助けを求める。     ブリュンヒルデはジークリンデが身ごもっていることを告げ、胎内の子をジークフリートと名付ける。     そこへヴォータンが現れ、ブリュンヒルデの神性を奪うことを宣告する。     荒涼たる岩山にヴォータンはブリュンヒルデを連れて行き、ブリュンヒルデがそこで眠りにつき、誰であれ彼女の眠りを最初に覚     ました男のものとなることを宣告する。     ブリュンヒルデは己の運命におびえ、許しを請うがヴォータンは聞き入れない。     ただし恐れを知らない英雄だけが超えられる炎でブリュンヒルデの周りを覆うことを約束する。     親子は抱きしめあい、永遠の別れを告げる。     ブリュンヒルデは岩山の頂に眠り、ローゲの炎がその周りに燃え上がる。 第2夜 『ジークフリート』(Siegfried) 第1幕 - ミーメはジークフリートによって指環を手に入れようとたくらむ。     ミーメによって育てられたジークフリートは、自らの出生の秘密を知り、折れたる剣ノートゥングを鍛えなおす。 第2幕 - 恐れを知らぬジークフリートは、竜に化身したファーフナーを倒し、その返り血により小鳥の言葉が分かるようになる。     小鳥の教えにより、指環を手に入れ、陰謀をめぐらしていたミーメを倒し、さらには岩山に花嫁ブリュンヒルデが眠っていること     を知る。 第3幕 - 荒涼たる岩山の麓。ジークフリートは道をさえぎる「さすらい人」(ヴォータン)の槍を砕き、炎を乗り越え、ついにブリュンヒ     ルデを接吻により目覚めさせる。2人は永遠の愛を誓い合う。 第3夜 『神々の黄昏』(Götterdämmerung) 陰謀で記憶を失ったジークフリートは、ブリュンヒルデと愛を誓ったことを忘れる。 ブリュンヒルデは復讐を誓い、ジークフリートを死に至らしめる。 指環を手に入れたブリュンヒルデは、ラインの娘たちに指環を返し、ヴァルハラは崩壊する。