(定義) 第二条 この法律において「人権侵害」とは、不当な差別、虐待その他の人権を侵害する行為をいう。 2 この法律において「社会的身分」とは、出生により決定される社会的な地位をいう。 3 この法律において「障害」とは、長期にわたり日常生活又は社会生活が相当な制限を 受ける程度の身体障害、知的障害又は精神障害をいう。 4 この法律において「疾病」とは、その発症により長期にわたり日常生活又は社会生活 が相当な制限を受ける状態となる感染症その他の疾患をいう。 5 この法律において「人種等」とは、人種、民族、信条、性別、社会的身分、門地、障 害、疾病又は性的指向をいう。  (職権行使の独立性) 第七条 人権委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行う。  (組織) 第八条 人権委員会は、委員長及び委員四人をもって組織する。 2 委員のうち三人は、非常勤とする。 (身分保障) 第十一条 委員長及び委員は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して罷免されることがない。  (会議) 第十四条 人権委員会の会議は、委員長が招集する。 2 人権委員会は、委員長及び二人以上の委員の出席がなければ、会議を開き、議決をす ることができない。 3 人権委員会の議事は、出席者の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決 するところによる。  (職務遂行の結果の公表) 第十八条 人権委員会は、この法律の適正な運用を図るため、適時に、その職務遂行の結果を一般に公表することができる。 第二十一条 地域社会における人権擁護の推進を図るため、人権委員会に人権擁護委員を置く。 4 人権委員会は、市町村長が推薦した候補者が人権擁護委員として適当でないと認める ときは、当該市町村長に対し、相当の期間を定めて、更に他の候補者を推薦すべきこ とを求めることができる。 5 前項の場合において、市町村長が同項の期間内に他の候補者を推薦しないときは、人 権委員会は、第二項の規定にかかわらず、第三項に規定する者のうちから、当該市町 村を包括する都道府県の区域内の弁護士会及び都道府県人権擁護委員連合会の意見を 聴いて、人権擁護委員を委嘱することができる。  (調査の嘱託) 第四十条 人権委員会は、人権侵害による被害の救済又は予防に関する職務を行うため必要があると認めるときは、国の他の行政機関、地方公共団体、学校その他の団体又は学識経験を有する者に対し、必要な調査を嘱託することができる。 (不当な差別、虐待等に対する救済措置) 第四十二条 一 第三条第一項第一号に規定する不当な差別的取扱い 二 第三条第一項第二号に規定する不当な差別的言動等 三 次に掲げる虐待 (4) 人に著しい心理的外傷を与える言動をすること。 (特別調査) 第四十四条  一 事件の関係者に出頭を求め、質問すること。  二 当該人権侵害等に関係のある文書その他の物件の所持人に対し、その提出を求め、   又は提出された文書その他の物件を留め置くこと。  三 当該人権侵害等が現に行われ、又は行われた疑いがあると認める場所に立ち入り、   文書その他の物件を検査し、又は関係者に質問すること。  (調停委員会) 第五十二条 調停委員会は、相当と認めるときは、一切の事情を考慮して調停案を作成し、当事者に対し、三十日以上の期間を定めて、その受諾を勧告することができる。 3 第一項の規定による勧告がされた場合において、当事者が調停委員会に対し指定された期間内に受諾しない旨の申出をしなかったときは、当該当事者間に調停案と同一の内容の合意が成立したものとみなす。 (調停手続の非公開) 第五十六条 調停委員会の行う調停の手続は、公開しない。 (勧告) 第六十条 人権委員会は、特別人権侵害が現に行われ、又は行われたと認める場合において、当該特別人権侵害による被害の救済又は予防を図るため必要があると認めるときは、当該行為をした者に対し、理由を付して、当該行為をやめるべきこと又は当該行為若しくはこれと同様の行為を将来行わないことその他被害の救済又は予防に必要な措置を執るべきことを勧告することができる。 (勧告の公表) 第六十一条 人権委員会は、前条第一項の規定による勧告をした場合において、当該勧告を受けた者がこれに従わないときは、その旨及び当該勧告の内容を公表することができる (人権委員会の訴訟参加) 第六十三条 人権委員会は、第六十条第一項(第七十二条第一項又は第七十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による勧告がされた場合において、当該勧告に係る人権侵害の内容、性質その他の事情にかんがみ必要があると認めるときは、当該人権侵害に関する請求に係る訴訟に参加することができる。  (人権委員会に対する報告) 第六十八条 厚生労働大臣及び国土交通大臣は、毎年、それぞれ労働関係特別人権侵害及び船員労働関係特別人権侵害に関する事務の処理状況についての報告書を作成し、人権委員会に送付しなければならない。  (法務大臣の指揮等の例外) 第八十六条 人権委員会がこの法律に規定する権限の行使に関して当事者又は参加人となる訴訟については、国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律(昭和二十二年法律第百九十四号)第六条の規定は、適用しない。 第八十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の過料に処する。  一 正当な理由なく、第四十四条第一項第一号(第七十条又は第七十六条において準用する場合を含む。)の規定による処分に違反して出頭せず、又は陳述をしなかった者  二 正当な理由なく、第四十四条第一項第二号(第七十条又は第七十六条において準用する場合を含む。)の規定による処分に違反して文書その他の物件を提出しなかった者  三 正当な理由なく、第四十四条第一項第三号(第七十条又は第七十六条において準用する場合を含む。)の規定による処分に違反して立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者  四 正当な理由なく、第五十一条(第七十一条第二項又は第七十七条第二項において準用する場合を含む。)の規定による出頭の求めに応じなかった者