シーレーン 日本の「命綱」  政府が、海自による給油活動を通じて、「テロとの戦い」を続けようとする最大の理由は、活動の継続が国益にかなうからだ。  中東からインド洋、東南アジアを貫く海上交通路(シーレーン)は、海上輸送に生存と繁栄を依存する日本にとって、「命綱」だ。原油は99%、天然ガスは97%を輸入に頼り、小麦の国内生産率は10%弱、大豆は5%に満たない。シーレーンを国際テログループによって脅かされれば、産業だけでなく、食卓まで干上がってしまうだろう。  海自関係者によると、中東から日本に向けて航行すると、平均8時間おきに、日本から来る20万トン級の大型タンカーとすれ違うという。「インド洋では今、航行する多くのタンカーが、『ありがとう』のメッセージを多国籍海軍の艦船に伝えている」と話す。  多国籍海軍を支援する活動は、海上輸送の安全を確保するシーレーン防衛そのものだ。その恩恵に浴する日本にとって、活動の継続は国益そのものと言っていいだろう。  「日本には、この海域の安全に利益があり、安定させる義務がある」  パキスタン海軍のハシャム准将の言葉は、国際社会共通の認識でもある。